ガリ版旅行記〜ロウ原紙制作見学日記 その2〜
蝋の温度調節のお話から。
蝋を溶かし、原紙に蝋引きする際に、一定の温度を保たなければいけないそうなので
液状に溶かされた蝋に、温度計がさしてあります。
温度をたしかめながら、ガスの火を調節。
小さいローラーには、雁皮紙が巻いてあるそうです。
紙をローラーに差し込み、
はさんでまわす。この動作が紙技です。
薄い、薄い雁皮紙を扱うのがとても難しいとのこと。
この写真は、方眼が印刷された雁皮紙。
見学させていただいたときに蝋引きされていた雁皮紙は、手すきの美濃和紙。
現在は、在庫にあるものを使って蝋引きされています。
在庫がなくなってしまったら・・・。雁皮紙を漉いて、作ってもらうほかありません。
押し切りされているので、切られた端がバサバサしているものもありました。
更に貴重なのが、方眼のロウ原紙です。
蝋引きする前に、方眼が刷られます。こんな薄い紙に印刷を・・・。
あらためてそのすごさに感動。
印刷されている、いないに関わらず、蝋引き作業は同じ。
先述した千歳飴の袋も同じように印刷した紙に蝋引きされます。
蝋引き作業は、1時間に約300枚生産できるとのこと。
最盛期は、1日中作業し、5000枚をお一人で制作されていたそうです。
5000枚!?
それでも、3ヶ月待ちなど、とても需要が高かったとのこと。
きこ、きこ、と、一日、ローラーをまわし、ペダルを踏み、ガス(薪)をたき、作業をされてたと考えると
本当に本当に手で物を作ることへの畏怖を感じました。
貴重なロウ原紙を、大切に使わせていただこうと、強く思いました。
作業を一通り見学させていただいたあと、遅ればせながら、お父様のご仏前にご挨拶させていただきました。
すばらしい文化を残してくださったことへの感謝をお伝えしました。
今回、小型のガリ版印刷機とインキを持参しました。
佐藤さんは、はじめてご覧になるとのことでした。
現在は、美濃和紙の懐紙などを印刷されておられるとのこと。
インキについても興味をもたれ、ご覧になっておられました。
記念に、できたてのロウ原紙と、蝋引きしていない雁皮紙、そして蝋のかけらを頂戴しました。
額縁やケースに入れて、大切に会社で展示させていただきたいと思います。
この度の訪問で、たくさん甘えさせていただきました。
実家と同じような雰囲気で、思わず子供達はくつろがせていただき、大変恐縮でした。
本当にありがとうございました。
今回の見学で撮影した写真は、200枚を超えました。
見学のあと、「美濃和紙の里会館」にも立寄り、
和紙のできるまでや、和紙製品などを見ました。
この見学日記はまた後日。
by gariban
| 2010-08-20 06:47